皮膚科症例集

 当院で実際に行った症例の一部をご紹介いたします。

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猫の皮膚潰瘍・好酸球性症候群

 保護された外猫ちゃんの首の皮膚がひどくただれています。皮膚の病変に同じくして、血液中の好酸球が増加しており、猫の好酸球性潰瘍などとも呼ばれています。原因は、ノミなどの寄生虫、アレルギー、ウィルス感染等による免疫不全がありますが、全く分からない場合も多いです。
 アンテドラッグと言って局所で有効、その後速やかに分解され、全身への移行が少ない比較的安全な外用ステロイド薬「コルタバンス」により、治療しました。さらっとした使用感で、塗り薬を嫌がる猫達も受け入れてくれます。

アトピー性皮膚炎とニキビダニ症の併発例

 当院でアトピーに対する低容量ステロイド療法を行っていましたが、数年前にニキビダニ症を併発し、その後発毛が認められなかった子です。現在、ニキビダニ症は治癒し、痒みのコントロールもされていましたが発毛促進を期待し、新薬の「アポキル」とメラトニンを処方しました。

 3ヶ月間で発毛が認められ、アレルギーによる痒みもほぼ消失。ここ数年で最も良い状態となりました。

若年性ニキビダニ症

 生後1歳未満で発病する脱毛症です。若齢での皮疹、脱毛は、細菌、カビ、寄生虫等の感染因子を確実に診断します。この子は、抜毛による検査でニキビダニが検出されました。若年性のニキビダニ症が全身移行することは稀です。以前は、イベルメクチンというお薬を高容量で投与していましたが、最近の知見よりあるノミ・マダニの駆除剤が有効なことがわかり使用しました。
顕微鏡写真のどこにダニがいるのか、お分かりですか?

ステロイド外用剤による皮膚潰瘍

 春頃より猫ちゃんの額に強い痒みが現れ、ステロイド外用剤を連用していたところ、冬に潰瘍となってしまった子です。当初痒みからきた搔きむしりが、いつしかステロイド外用剤による潰瘍となり、動物がカサブタをかきむしる行為をオーナー様が「痒み」とお考えになって、お薬を続けていたいたケースです。
 この場合、「勇気を持って」ステロイド剤を休止していただき、患部には血行促進の外用薬を塗っていただきます。カサブタが消失する頃には掻く仕草も無くなり、2週間後には、潰瘍がほぼ消失しました。

特発性脱毛症

 ミニチュアダックスフントの子です。まだ若々しい年齢ですが、脱毛と皮膚の菲薄化があり、そのため皮膚のバリア機能が低下し、膿皮症も繰り返していました。季節性の脱毛症でこのような脱毛パターをとる事もありますが、この子は、通年認められました。ホルモン検査を始め、各種検査に大きな異常はありませんでした。

 ステロイド等の特別なお薬を処方する事無く、栄養状態の改善とビタミン剤を処方し、発毛し始めました。しかし、膿皮症の原因菌は、多剤耐性で有効な抗生物質がありませんでした。そこでイオウをベースとした外用剤を処方し、コントロールしています。

アレルギー性皮膚炎

 アレルギー性皮膚炎に一般的な紅斑よりも皮疹を特徴とする皮膚炎です。非典型的パターンではないので食事性アレルギー等を疑いましたが、一般的なアトピー性皮膚炎の範疇にあるようです。

 当初は、食事性アレルギーを疑って食事療法を行いましたが、最終的には当院の低用量アレルギー処方で落ち着きつつあります。

耳道狭窄

 慢性的な外耳炎により耳の孔が塞がってきています。とりわけアメリカンコッカースパニエルでは耳の穴全部を取るような激しい全耳道切除術を要する事があります。当院では皮膚炎兆候の一つとしてとらえ、長期的にオーナー様に取り組んで頂き、耳道切除を要さず良好に管理いただいております。

猫のアレルギー性皮膚炎

 猫ちゃんのアレルギー性皮膚炎は、額に皮疹が出るケースが多いです。アトピー性皮膚炎は猫での確立はありませんが、おそらくそれに近い病態と考えております。

好酸球性皮膚炎

 猫ちゃんの背中や耳介にボツボツした皮疹を認めました。病態として、白血球の中の好酸球と言う細胞が過剰に増えています。ノミのアレルギー性皮膚炎でも同様な兆候を示します。この子は、口の中にも好酸球性の口内炎があり、痛くてごはんを食べられませんでした。ステロイドや、シクロスポリンの投薬で改善し、快適な生活を送っています。

多形紅斑

 突然全身が赤くなったと言う事で来院されました。原因は不明ですが、免疫の過剰関与が疑われます。

 一般的には免疫抑制量の高用量ステロイド療法が適用されますが、当院のアレルギー処方のハイグレード療法で一般的なステロイド量以下で寛解しました。

甲状腺機能低下症

 年齢の割に老け込み、毛艶が悪くなります。鼻の上や尻尾の毛が抜け黒く色素沈着します。毛穴が黒ずみ、乳首が大きくなる事もあります。肝酵素が上昇する事がありますが、二次性のものです。
 残念ながら診断されても、甲状腺製剤さえ投薬していれば、美しく活発によみがえります。当然肝酵素等も正常に帰します。

肢端脱毛(未分類)

 アレルギー皮膚炎の一兆候としてとらえていた足先の脱毛と、皮膚の薄化及びフケです。アレルギーのコントロールが順調に行っても改善がみられなかったため、個別の疾患と認識し、血行促進と、乾燥保護を狙いとした塗り薬を処方しました。数ヶ月全く改善が認められなかった患部に、1ヶ月で明らかな反応を認めました。

処方前

1ヶ月後

シェットランドシープドッグの肉球潰瘍

 シェトランドーシープドッグは、特徴的な皮膚疾患の多い犬種です。角化異常による肉球のトラブルもその一つです。肉球に苔がむしたような角化過剰があったり、このような痛々しい潰瘍を形成する事があります。
 角質代謝を整えるビタミン剤の内服と軟膏を中心に治療致しました。

初病日 苔むしたような角化異常があり、肉球が硬く割れてしまっています。痛みがあり、オーナー様は、わんちゃんが痛く無いようにと散歩コース選びに苦心されていました。

5ヶ月後 潰瘍自体は1が月で改善し、このような状態で落ち着いています。

ウェスティーのアレルギー性皮膚炎

 数年間、エリザベスカラーを外す事ができなかった子です。外したとたんに血が出るまで掻きむしり、緊張するはずの診察室でも掻き続けていた子です。診察台に上げただけで、フケがたくさん落ちてきました。

 3ヶ月後。今までの炎症の名残で発毛こそ十分ではありませんが、エリザベスカラーを外す生活を手に入れ、夜も快適に寝てくれています。脇や、下腹部の色素沈着の改善が、長期的に炎症をコントロールできている証拠です。

心因性脱毛 アビシニアン

 高用量のステロイド療法によりコントロールをしていた子ですが、精神安定作用のサプリメントを処方した事で改善、治癒しました。過剰なグルーミングによる脱毛、潰瘍病変が見られました。

後脚が舐める行為により左右対称性に脱毛しています。一部皮膚の潰瘍も認められます。後脚による耳根部のかき壊し。

マラセチア及びアレルギー性皮膚炎 ヨークシャテリア

 転院を繰り返していた子です。治療当初は、酵母菌のコントロールと低用量アレルギー処方を行いました。また、象の皮膚様になってしまったところは、オリジナルの外用薬を使用し柔らかく正常な皮膚に戻しました。

象の皮のよう皮膚が厚く、硬くなっています。 被毛は薄く、色素沈着が目立ちます。

 4ヶ月後。
素晴らしい毛並みに戻る毛をかき分けても地肌の露出はありません。

脱毛症X ポメラニアン メス

 当院の脱毛症初期処方に抵抗を示した子です。1年間進行は抑えられましたが、改善が認められせんでした。オーナー様とご相談の上、副腎ホルモンの産生を抑えるお薬を加えたところ3ヶ月後より活発な発毛が認められました。

毛をかき分けると地肌があらわに薄皮が剥けたような地肌

素晴らしい毛並みに戻る毛をかき分けても地肌の露出はありません。

ウサギの肉垂の自咬症

 主にメスが巣作りを行うように自分の首の毛を噛み切り、エスカレートして皮膚に潰瘍ができるトラブルです。精神安定剤や、避妊手術、さらに思い切って肉垂自体を切除しても治りにくい、エキゾチックの専門医をも悩ませる疾患です。
 人の床ずれのお薬を処方し2週間で劇的な改善が認められました。
気管・筋肉まで露出しそうな深い潰瘍です。この後、完全に治癒しました。