シャンプー、やり過ぎていませんか?

 被毛を清潔に保つ事はお手入れの基本です。ただし、やり過ぎは禁物。伴侶動物をかわいがるあまり過度なシャンプーに飼い主様もこの子もお疲れではありませんか?シャンプーの回数は、1ヶ月に1度ぐらいが理想的です。少なくとも2週間は、空けてください。頻繁なシャンプーをせずに毎日のブラッシングを心がけ、硬く絞ったタオルで表面を軽く拭いてやってください。皮膚・被毛が健康な子であればそれで十分なはずです。

 皮膚の炎症や、湿疹がある場合は、シャンプーにより症状が悪化することがあります。アレルギー性皮膚炎では、もともと乾燥肌の状態にあります。シャンプーしてしまうと洗剤成分で皮膚の油脂を落とし、こすり洗いにより角質を脱落させます。被毛に保護されている分、犬の角質は人の1/31/4程度の厚さでとても薄いです。潤いとしての油分を落とし、角質を非薄化してしまうと皮膚からのアレルギー物質の侵入が容易になり、症状の悪化を引き起こします。まして、ドライヤーの熱で何十分も乾かされたらたまったものではありません。なるべく冷風で乾かしましょう。

 夏場で多くなるのが人で言う「トビヒ」である「膿皮症」です。これは、皮膚の表面にいる常在菌が荒れた皮膚や毛穴に入り込んで起こる湿疹です。この状態の時にシャンプーするとこすり洗いで菌をあちらこちらにばらまき、水に濡らす事で菌の増殖を促します。乾いたおせんべいは腐りにくいですが、濡れたおせんべいは雑菌が繁殖し、すぐにいたむのと同じ原理です。もし、膿皮症の状態でシャンプーをする場合は、最後に水で冷やし毛穴を引き締め、やはり冷風で完全に湿気を取るまで乾かさなければなりません。しかし、多くはシャンプーした34日は調子がいいのに、57日すると倍になって出てきます。飼い主様は、5日と空けずシャンプーをしなければならないという無限地獄?に陥ります。

 当院では、皮膚疾患の子へのシャンプーを原則禁止しております。ほとんどの皮膚病は、シャンプー無しで管理できます。一般的には、多くの獣医師がシャンプー奨めているので皆様驚かれますが、当院では毎日のシャンプーから解放され、何ヶ月も洗わなくても満足している飼い主様が結構いらっしゃいます。