アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎の兆候
「何だか急に体をあちこち痒がりだした。赤い。」飼い主様が、そうおっしゃり病院にご来院されます。しかし、病気の駆け出しはもっと早いようです。ここでは、飼い主様に鑑別しやすいアレルギー性皮膚炎のチェック項目をご紹介します。早期にアレルギー性皮膚炎とご理解頂く事と、治療した効果を確認していただくのにお役立てください。アトピー性皮膚炎では、学術的な分類項表現がありますが、時代とともに変わるようです。ご自身の目を信じて、見た感じからお入り頂いた方が信頼性があるかもしれません。
指の間の炎症
貴方のわんちゃんは足の裏を舐めていませんか?
アレルギー性皮膚炎の臨床兆候で初めに出て最後まで残るのは、指の間の炎症です。アレルギー性皮膚炎全体の治療がコントロールできても、犬が汗をかく唯一の場所なので、1日何度か舐める行為はどうしても残ってしまいます。実際には、そのレベルが落としどころと思ってください。薬を強くしても副作用がでるばかりで、全く舐めなくさせるのは困難です。
また、現在お散歩帰りに足を洗ったり、ウェットティッシュ等で拭いている方はすぐに止めてください。増悪させます。散歩の砂汚れ等は痒みの原因になりませんが、濡らすと痒がります。お散歩の後は、乾いたタオルで良く拭くだけにしてください。
外耳炎
耳が赤い、痒そうだ、臭い、耳垢が多い。これらは一般的な外耳炎の兆候です。しかし、本当に外耳炎だけでしょうか?手を舐めたり、目が赤かったり、体をかいたりしていませんか?片耳だけと思っていてももう片方の耳は全く赤くなっていないのでしょうか?
外耳炎は「耳のトラブル」と片付けがちですが、殆どはアレルギー性皮膚炎の兆候の1つにすぎません。しかも、拝見する多くがすでに慢性経過をたどっています。色素沈着や、耳の穴が狭くなっているのは慢性経過の証です。炎症が収まっても数ヶ月間治療を継続する必要があります。他の臨床兆候を見逃さず、合わせ技でアレルギー性皮膚炎の診断をつけましょう。
アレルギー性皮膚炎管理のポイント
アレルギー性皮膚炎の治療は、対症療法に終止する傾向があります。つまり、薬をもってその子が快適な生活を送れるようコントロールする事です。残念ながらステロイドとのお付き合いも必要かもしれません。
そこで当院では管理のポイントを上げ、飼い主様ご協力のもと使用薬剤の低減に努めています。
1.生活環境の改善
① ストレス予防(十分な散歩、不安感の排除、満足感)
② アレルゲン予防
Ⅰ ハウスダスト
清掃、除湿、フローリング、布団に入れない
Ⅱ ノミ取り薬
③ アレルゲンの回避
Ⅰ 血液検査に基づきアレルゲンとの接触を避ける
Ⅱ 除去食
Ⅲ 低アレルギー食
2.皮膚バリアの改善
① ビタミンA、不飽和脂肪酸などの給与による皮膚の改善
② 薬用シャンプー
③ 外用剤
3.薬剤による症状緩和
① ステロイドなどの免疫抑制剤
② 抗ヒスタミン剤
③ 抗アレルギー剤
4.減感作療法
5.併発疾患のコントロール
感染症 ホルモン失調 脂症 自己免疫疾患 心因性疾患