治療中にも関わらず悪化してしまい、転院された理由で多いものを紹介します。

 「痒み止め」をいただいているのにどんどん酷くなる。シャンプーを毎日のように行っているのに酷くなる。先生からいただいた薬をずっと塗っていたらおかしくなってきた。転院の際、良くうかがうフレーズです。
 皮膚の状況は、刻々と変化します。「あの時そう言われてもらったお薬だから」と、続けていると時にあらぬ方向へ進んでしまいます。治療中にも関わらず悪化する場合、「痒み止め」「炎症を抑える」「シャンプー」をまず止めてください。そして、膿皮症、カビ、ニキビダニ症、疥癬などの感染因子が無いか必ず確認してください。転院理由の一番は、漫然とステロイドを継続した事と、シャンプーをしていつの間にか感染症が増幅してしまったケースです。


ニキビダニ症



1年間治療を受けていた子です。初めはアレルギー等でステロイドの処方を受けて良好に推移していても、いつの間にかニキビダニが繁殖してしまうケースがあります。ニキビダニの検査を受ける場合は、思い切って出血するまで皮膚を削って材料を頂戴します。この病気を見落として初めのボタンをかけ違えると何をやっても良くなりません。この場合は、毎日薬浴(シャンプーではありません)していただきます。
下段は、治療後です。
また、ニキビダニ以外の寄生虫疾患として疥癬にも注意が必要です。

膿皮症


元々存在する常在菌が悪さをする疾患です。頻繁なシャンプーによりさらに悪化するケースの典型です。当院では、シャンプに含まれる薬用成分の有用性より濡らす事、こする事が問題であると考えています。また、アレルギー性皮膚炎の合併症として一般的に認められます。この場合、シャンプーは中止し、アレルギーの痒みの治療も休止します。理想は、ステロイドを休止する事ですが、痒みの強い子には必ず低容量ステロイド療法を行います。
初めは小さな湿疹が円形状に脱毛し、フケが出てきます。拡大とともに真ん中が黒く色素沈着します。膿皮症単独の場合、痒みは一般的に軽度です。

ステロイド外用剤による副作用


動物病院で処方されるステロイド外用薬の殆どは、ストロングクラスです。確かに切れが良く、速やかな症状の改善がはかれます。しかし、飼い主様のご判断で薬が残っているからといって漫然と使うと脱毛、皮膚潰瘍・菲薄化、フケが発生します。外耳炎で使っていたお薬で耳の脱毛、お腹の湿疹で使っていたお薬でフケが認められました。休薬する事で改善しますが、3ヶ月〜半年かかります。

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