多飲・多尿を科学する

 飲んで、オシッコをする。動物にとって水分摂取と排尿は、自活する上で最も重要なサイクルです。色調等に問題があれば皆様もすぐにお気づきかと思いますが、あなた様のペットの水を飲む量、オシッコの量は本当に問題ありませんか?とたずねられたらいかがでしょう。今回は、犬の飲水量、排尿量についてお話ししたいと思います。

 飲水量と排尿量は、一定量の水分を生体に確保するためにバランスが保たれています。多飲と多尿は、それらの恒常性に狂いが生じた時におこります。多くの場合多尿が先行して多飲がそれに続きますが、逆のケースもあります。多飲とは、1日体重1kgあたり約100ccの飲水量以上が目安です。60ccぐらいまではあまりご心配いただかなくて結構です。多尿は、1kgあたり約50ccの排尿です。そうは言っても、動物たちの排尿量を計る事は、チューブで膀胱からつなぎ止めねばならず大変困難なことです。

 この他、内分泌(ホルモン)が問題となるケースで、皆様がよくご存知の糖尿病、体内のステロイドホルモンを産生する副腎皮質や甲状腺といった器官の腫瘍があります。また、人為的におこる問題として、ステロイド剤を筆頭に薬剤を与えた場合もあります。

 オシッコを作る腎臓の疾患も尿量が増え、多飲となる場合があります。この場合、多尿の時はまだ良いのですが、無尿に陥った場合は予後が悪いです。

 また、避妊手術をしていない女の子では、子宮に膿が溜まる病気の時に多飲多尿が起こるようです。何となく元気が無く、おなか周りが膨らんできている時は要注意です。陰部から膿(血)のようなものが出ているのでしたら確実でしょう。

 健康診断として試してみたい、おや?と思う時は、尿検査を受けてみましょう。ペットをお連れいただかなくても、病院でお配りしている容器に取ってお持ちいただければ結構です。病気によっては、血液検査よりも早く異常を知る事ができるのです。